障害者やその家族にロックの生演奏を楽しんでもらおうと、福岡市のバンドグループなどでつくる障害者音楽支援団体「音小屋」が毎年開いてきた手作りライブが、10年目を迎えた。今年は9日に、お決まりのライブハウスCB(福岡市中央区長浜3丁目)で開催。代表の堤裕介さん(37)は「障害者の皆さんからパワーをもらって続けてこられた」と話している。
CB店長の堤さんは、エルビス・プレスリーなどの曲を演奏するバンド「パーシーズ」のドラム担当。「心のバリアフリーにつながれば」と2001年、友人の脳性まひの子どもと、その子が参加していた重度障害者のサークルで、現在の福祉作業所「otto(オットー)」(博多区)の障害者や家族らをCBに招き、「音小屋」ライブを始めた。
大音量が負担にならないか心配だったが、家族から「ありのままを見せたい」と頼まれ、音も照明も普段通りで演奏。すると、障害者は車いすに乗りながらリズムを刻んだり、立ち上がって踊り出したり、驚くほど反応が良く、ギターのサポートメンバー・末広尚義さん(37)は「ステージを見る笑顔がキラキラしていて、僕たちも達成感に満たされた」という。
以来、ボランティアの助けや企業・個人からの協賛金を得ながら毎年続け、会場でカレーライスなどの食事を出したり、福祉作業所の授産品を販売したりするなど、お祭りのようなイベントに育ってきた。口コミで来場する障害者が増え、パーシーズが特別支援学校や福祉施設に出向いてライブをする機会も増えた。
節目の今年。過去9回はいずれもCBが会場で、昨年は聴衆として約150人が集まった。今回はより多くの人に参加してもらおうと広い会場を予定したが、会場側の都合で使えなくなり、急きょ、いつものようにCBで開くことにした。午後1時開演し、パーシーズを含むアマチュアロックバンド7組が出演、障害者がボーカルを務めるバンドも登場する。
障害者の入場料は無料で、家族など付き添い者は1ドリンク(500円)の注文が必要。一般の入場料は2千円。問い合わせは、CB=092(732)7575。
=2010/05/07付 西日本新聞朝刊=